取引先リスクを、見える化する。
ホーム取引先調査の実践方法

与信調査のやり方|初心者でもわかる5つの手順

公開: 2026-08-16 / 更新: 2026-08-16

与信調査で最初に確認すべきは「登記情報」「決算書などの財務情報」「信用調査会社のレポート」の3点です。これらを組み合わせて取引先の支払い能力を推測し、与信限度額を決めるのが基本の流れになります。この記事は約6分で読めます。初めて与信調査を担当する方向けに、具体的な手順と数値の目安、よくある失敗例をまとめました。\n\n## 与信調査とは何か\n\n与信調査とは、新規または既存の取引先に対して「どの程度の金額まで信用して取引できるか」を判断するための調査です。売掛金の未回収リスクを未然に防ぐことが主な目的で、特に掛け取引(後払い)を行う企業にとっては欠かせないプロセスといえます。\n\n### なぜ初心者ほど調査が甘くなりやすいのか\n\n営業担当者は「早く契約を取りたい」という心理が働くため、与信調査を後回しにしがちです。実際に、取引開始後3〜6ヶ月以内に支払い遅延が発生するケースは珍しくなく、初期段階での確認不足が原因になっていることが多いとされています(あくまで実務上の傾向であり、業界・企業規模により差があります)。\n\n## 初心者向け・与信調査の基本ステップ(チェックリスト)\n\n以下の項目を上から順にチェックしていくと、調査漏れを防ぎやすくなります。\n\n- [ ] 商業登記情報で会社の実在性・代表者・資本金を確認する\n- [ ] 決算書(直近2〜3期分)で売上・利益の推移を確認する\n- [ ] 自己資本比率や流動比率など基本的な財務指標を計算する\n- [ ] 信用調査会社のレポート(有料)で評点・支払い遅延情報を確認する\n- [ ] 業界内の評判や取引実績を関係者にヒアリングする\n\n### 決算書チェックで見るべき数値の目安\n\n財務指標は業種によって差がありますが、初心者が押さえておきたい目安は以下の通りです。\n\n- 自己資本比率:30%以上あれば財務の安定性はひとつの目安になる\n- 流動比率:120%以上で短期的な支払い能力に余裕があると判断されやすい\n- 売上高経常利益率:業種平均と比較して極端に低くないか確認する\n\nこれらはあくまで目安であり、業種特性(建設業・卸売業など運転資金の必要額が異なる業種)によって適正水準は変わります。最終的な判断は自社の与信管理規程や、必要に応じて税理士・中小企業診断士などの専門家に相談することをおすすめします。\n\n## 与信限度額の決め方(初心者向けの簡易計算式)\n\n与信限度額は次のような簡易式で仮算出されることがあります。\n\n与信限度額(目安)= 自己資本額 × 一定率(業界慣行では5〜10%程度とされることが多い)\n\nたとえば自己資本額が5,000万円の取引先であれば、250万〜500万円程度が一つの目安になります。ただし取引実績が浅い初回取引では、この目安よりも保守的に設定し、支払い状況を見ながら段階的に引き上げる方法が一般的です。\n\n## 初心者がやりがちな失敗例\n\n### 失敗例1:登記情報を確認せず取引を開始した\n\n代表者名や本店所在地の確認を怠り、後になって「実態のないペーパーカンパニーだった」と判明したケースがあります。登記情報は法務局で取得でき、法人番号は国税庁の法人番号公表サイトでも無料で確認できます。まずは実在性の確認から始めることが重要です。\n\n### 失敗例2:決算書の「古い数値」だけで判断した\n\n3期前の決算書だけを見て「経営は安定している」と判断し、直近の業績悪化を見落としたケースです。決算書は必ず直近2〜3期分を並べて、売上や利益の「トレンド」を確認する必要があります。\n\n### 失敗例3:与信限度額を設定せず取引金額が青天井になった\n\n最初の取引が順調だったため限度額を設定せず、気づけば売掛金残高が想定の3倍以上に膨らんでいたという失敗例もあります。取引開始時に必ず限度額を設定し、定期的(半期〜1年ごとが目安)に見直すルールを社内で作っておくことが望まれます。\n\n## 与信調査に役立つ公的情報・ツール\n\n初心者がまず無料で確認できる情報源として、以下が挙げられます。\n\n- 法人番号・所在地の確認:国税庁の法人番号公表サイトで法人の基本情報を検索できる\n- 中小企業の経営動向や支援施策の把握:中小企業庁の公表資料で業界の一般的な財務指標の目安を参照できる\n\nこれらは無料で確認できる一次情報のため、有料の信用調査レポートを依頼する前段階のスクリーニングとして活用すると効率的です。\n\n## まとめ:与信調査は「実在確認→財務確認→限度額設定」の順で進める\n\n初心者が与信調査を行う際は、まず取引先が実在する法人かどうかを確認し、次に決算書などの財務情報でトレンドを確認、最後に与信限度額を設定するという流れを意識すると失敗が減ります。数値の目安はあくまで参考値であり、業種や取引条件によって適正水準は異なります。判断に迷う場合は、社内の与信管理規程を整備するとともに、必要に応じて専門家や信用調査会社への相談も検討してください。

よくある質問

Q. 与信調査は取引開始前に必ず行うべきですか?
A. 掛け取引(後払い)を行う場合は、未回収リスクを避けるために取引開始前の実施が望ましいとされています。特に高額取引や新規取引先の場合は、登記情報と直近の決算書だけでも事前に確認することが推奨されます。
Q. 与信調査にかかる費用の目安はどれくらいですか?
A. 信用調査会社のレポートは1件あたり数千円〜数万円が目安とされていますが、調査項目の深さによって変動します。国税庁の法人番号公表サイトなど公的情報は無料で確認できるため、まずは無料情報から始める方法もあります。
Q. 初心者でも社内マニュアルなしで与信調査はできますか?
A. 最低限のチェックリスト(登記情報・決算書・限度額設定)があれば個人でも着手は可能ですが、判断基準が属人化しやすいため、早い段階で社内の与信管理規程やフローを整備することが望まれます。
この記事をシェア: X(Twitter) LINE

あわせて読みたい

取引先調査の実践方法
取引先与信管理をエクセルで行う方法とテンプレ項目
取引先調査の実践方法
取引先調査の方法とは?基本手順と実務のコツ
与信審査・限度額設定
与信限度額の設定方法|計算式と3ステップで解説
与信管理の基礎知識
与信管理とは?目的と手順を基礎から解説

取引相手の素性をAIがデューデリする素性無双をご覧ください。

詳しく見る →