会社の未来を、次のステージへつなぐ。
ホーム事業承継税制・補助金

事業承継の税金対策とは?納税猶予制度を解説

公開: 2026-08-16 / 更新: 2026-08-16

事業承継の税金対策は、株式評価額の引き下げ・生前贈与の活用・事業承継税制(納税猶予制度)の3つを組み合わせることが基本です。何もしないまま相続を迎えると、非上場株式の評価額によっては数千万円単位の相続税が発生し、後継者が納税資金に窮するケースもあります。\n\n中小企業の経営者にとって、事業承継における税金対策は「いつ・誰に・どの方法で」渡すかによって負担額が大きく変わる重要なテーマです。\n\n## 事業承継でかかる税金の種類と負担の目安\n事業承継で発生する主な税金は、相続税・贈与税・譲渡所得税の3つです。株式や事業用資産を後継者に移す際、贈与であれば贈与税、相続であれば相続税、第三者への売却(M&A)であれば譲渡所得税がかかります。\n\n非上場株式の評価額は、会社の純資産や類似業種の株価をもとに算出されるため、業績が良い会社ほど評価額が高くなり、結果として税負担も重くなる傾向があります。目安として、自社株評価額が1億円を超える中小企業では、相続税の実効税率が30〜40%程度になるケースも珍しくありません。事前対策なしで相続が発生すると、後継者が自己資金や借入で納税資金を用意せざるを得ない状況に陥りやすい点に注意が必要です。\n\n## 事業承継税制(納税猶予制度)の仕組み\n事業承継税制は、一定の要件を満たすことで、自社株にかかる贈与税・相続税の納税が猶予され、最終的に免除される可能性がある制度です。2018年に導入された「特例措置」では、対象株式数の上限撤廃や納税猶予割合100%など、従来の一般措置より要件が緩和されました。\n\nただし特例措置の適用には、原則として2026年3月末までに「特例承継計画」を都道府県に提出する必要があるなど、期限や手続き要件が細かく定められています。要件を満たさなくなると猶予が打ち切られ、猶予されていた税額に利子税を加えて一括納付を求められるリスクもあるため、制度の詳細は必ず中小企業庁や顧問税理士に確認しながら進めることが重要です。\n\n### 特例措置と一般措置の主な違い\n特例措置は納税猶予割合が100%である一方、一般措置は80%程度にとどまります。また特例措置は雇用維持要件が実質的に緩和されている点も特徴ですが、適用期限があるため、承継の時期によっては一般措置しか使えない場合もあります。\n\n## 生前贈与・株価引き下げによる対策\n事業承継税制以外にも、生前贈与や株価引き下げによる対策が広く行われています。\n\n- 暦年贈与の活用:年間110万円の基礎控除を利用し、複数年に分けて株式を移転する方法です。ただし近年の税制改正で生前贈与加算の対象期間が延長されており、直前の駆け込み贈与は相続財産に加算される可能性がある点に注意が必要です。\n- 役員退職金の活用:経営者の退職に合わせて退職金を支給することで、会社の純資産を圧縮し、株価評価額を引き下げる手法です。退職金額の妥当性を欠くと、税務調査で否認されるリスクがあります。\n- 持株会社(ホールディングス化)の活用:株式を持株会社に集約し、将来の株価上昇分を後継者側に帰属させる方法です。組織再編には登記や許認可の見直しなど手間がかかるため、専門家との綿密な設計が欠かせません。\n\nこれらの対策はいずれも一長一短があり、会社の財務状況や後継者の状況によって最適解が異なります。実は、複数の対策を早期から組み合わせて実行するほど、税負担を圧縮できる余地が大きくなる傾向があります。\n\n## 事業承継の税金対策を進める手順\n\n### STEP1:自社株評価額の把握(所要期間目安:1〜2カ月)\nまず顧問税理士に依頼し、現時点での自社株評価額を算出します。評価方式によって金額が大きく変わるため、複数の評価方法でシミュレーションすることが望ましいです。\n\n### STEP2:承継計画・後継者との合意形成(所要期間目安:3〜6カ月)\n誰に・いつ・どの方法で承継するかを明確にし、家族や役員と合意を形成します。特例承継計画の提出を検討する場合はこの段階で準備を進めます。\n\n### STEP3:税制・贈与スキームの選定(所要期間目安:2〜3カ月)\n事業承継税制の適用可否、暦年贈与や退職金活用の組み合わせを税理士とともに検討し、具体的なスキームを確定します。\n\n### STEP4:実行と継続的な要件充足の管理(承継後も継続)\n株式移転や届出を実行した後も、事業承継税制は雇用維持要件などを一定期間継続して満たす必要があります。毎年の報告書提出を怠ると猶予が取り消されるため、社内でチェック体制を整えておくことが大切です。\n\n## 対策を怠った失敗例\nある製造業の経営者は、後継者である長男への株式移転を先送りにしていたところ、急な体調悪化により準備が整わないまま相続が発生しました。自社株評価額が想定より高く算出され、相続税額は約8,000万円に達し、後継者は金融機関からの借入で納税資金を工面することになりました。事前に事業承継税制の活用を検討していれば、猶予制度によって当面の資金負担を抑えられた可能性がある事例です。\n\n別の例では、暦年贈与を毎年続けていたものの、贈与契約書を作成していなかったために税務調査で「名義預金」と判断され、贈与自体が否認されたケースもあります。形式面の不備は対策全体を無効化するリスクがあるため注意が必要です。\n\n## 専門家に相談する際のポイント\n事業承継の税金対策は、税理士・弁護士・M&A仲介会社など複数の専門家が関わる領域です。特に事業承継税制の適用判断や株価評価は専門性が高いため、事業承継支援の実績が豊富な税理士に早めに相談することをおすすめします。制度の詳細な要件や申請様式は、必ず中小企業庁国税庁の公式情報で最新内容を確認してください。\n\n第三者への会社売却(M&A)を選択肢に含める場合は、税負担のシミュレーションが贈与・相続の場合と大きく異なります。税金対策と並行して、承継方法そのものの比較検討を進めることも重要です。\n\n## まとめ\n事業承継の税金対策は、自社株評価額の把握から始まり、事業承継税制・生前贈与・株価引き下げなどの手法を早期から組み合わせることで負担軽減の余地が広がります。一方で、手続き要件や期限を誤ると猶予取り消しや税務否認のリスクもあるため、最終的な判断は必ず税理士など専門家に相談したうえで進めてください。

よくある質問

Q. 事業承継税制はどんな会社でも使えますか?
A. 中小企業者に該当することや、後継者・先代経営者の要件など複数の条件を満たす必要があります。業種による資本金・従業員数の基準もあるため、まず要件を満たすか顧問税理士や中小企業庁の情報で確認することをおすすめします。
Q. 生前贈与と事業承継税制はどちらが有利ですか?
A. 会社の株価水準や後継者の状況によって有利不利が変わるため一概には言えません。暦年贈与は少額を計画的に移転する場合に向き、事業承継税制は評価額が高い場合の納税猶予に適していることが多く、併用可否も含めて専門家と検討することが望ましいです。
Q. 事業承継税制の適用を受けた後に要件を満たせなくなるとどうなりますか?
A. 猶予されていた税額に加えて利子税が課され、一括で納付を求められる可能性があります。雇用維持や事業継続などの要件を承継後も継続的に満たす必要があるため、社内での管理体制の整備が重要です。
この記事をシェア: X(Twitter) LINE

あわせて読みたい

事業承継の基礎知識
後継者不在の解決策5つ|中小企業が取るべき選択肢
企業買収・M&A戦略
M&A買収のメリット・デメリットを徹底解説
M&A仲介会社・専門家の選び方
M&A仲介会社の選び方|失敗しない7つの視点
会社売却(譲渡)ガイド
会社を売る方法とは?中小企業の手順と注意点

後継者募集案件2,000件超からAIがマッチングする承継無双をご覧ください。

詳しく見る →