会社を売る方法とは?中小企業の手順と注意点
中小企業が会社を売る方法は、主に「株式譲渡」と「事業譲渡」の2つに大別され、経営者個人が譲渡代金を受け取るか会社自体に代金が入るかで税務・手続きが大きく異なります。まずは自社の状況を整理し、M&A仲介会社や公的相談窓口に相談することが、失敗を避ける最初の一歩です。
会社を売る方法の全体像
中小企業のM&Aで使われる売却手法は、大きく2種類です。
株式譲渡
経営者が保有する株式を買い手に譲渡する方法です。会社という「箱」がそのまま買い手に移るため、許認可や取引先との契約を引き継ぎやすいのが特徴です。中小企業のM&Aでは、この株式譲渡が最も多く使われる手法とされています。
事業譲渡
会社の一部または全部の事業(資産・負債・従業員・取引先など)を選んで譲渡する方法です。不要な資産や簿外債務を切り離せる一方、契約の再締結や許認可の再取得が必要になる場合があり、手続きが煩雑になりやすい点に注意が必要です。
どちらの方法が適しているかは、会社の負債状況、許認可の有無、買い手側の意向によって変わるため、税理士やM&A専門家に早めに相談することが望ましいです。
会社を売る手順・流れ(6ステップ)
中小企業が会社を売る際の一般的な流れは、目安として以下の6ステップです。
1. 相談・準備:M&A仲介会社や商工会議所、事業承継・引継ぎ支援センターなどに相談し、売却の方向性を固める(目安1〜2ヵ月)
2. 企業価値の簡易算定:過去の決算書などをもとに、売却価格のおおよそのレンジを把握する
3. 買い手候補の選定・打診:仲介会社が候補企業をリストアップし、匿名で条件を打診する(目安2〜4ヵ月)
4. トップ面談・基本合意:経営者同士が面談し、大まかな条件で基本合意書を締結する
5. デューデリジェンス(DD):買い手が財務・法務・労務面などを詳細に調査する(目安1〜2ヵ月)
6. 最終契約・クロージング:譲渡条件を確定し、契約締結・株式や事業の引き渡しを行う
全体の期間は、案件の規模や交渉状況によって幅がありますが、相談開始から成約まで半年〜1年程度かかるケースが多いとされています。
中小企業のM&Aにかかる期間・費用の目安
仲介会社を利用する場合、費用の目安は以下のようなイメージです(会社の規模や契約内容により異なります)。
- 着手金:0円〜数十万円程度(無料の会社も増えている)
- 中間金:基本合意時に発生する場合があり、成功報酬の一部を先払いするケースがある
- 成功報酬:譲渡金額に応じたレーマン方式が一般的で、譲渡額の数%〜十数%程度が目安とされる
費用体系は仲介会社ごとに大きく異なるため、複数社から見積りを取り、着手金・中間金・成功報酬の合計額を必ず比較することが重要です。
会社を売る際によくある失敗例
実際の相談事例では、以下のようなつまずきが目安として多く見られます。
- 決算書の整備不足:簿外債務や個人資産と会社資産の混在が発覚し、DDの段階で買い手が離脱する
- 相場感のズレ:経営者の希望価格と市場での評価額に大きな差があり、交渉が長期化・破談する
- 情報漏洩:社内に売却検討中であることが早期に伝わり、従業員の離職や取引先の不安を招く
- 仲介会社任せにしすぎる:契約内容や費用体系を確認せず契約し、後から想定外の費用が発生する
これらは事前準備と信頼できる相談先の選定によって、多くが回避できると考えられます。
会社を売る方法を選ぶ際の相談先
中小企業の事業承継・M&Aについては、民間のM&A仲介会社のほか、各都道府県に設置されている「事業承継・引継ぎ支援センター」など公的な相談窓口も利用できます。中小企業庁は事業承継・M&Aに関する施策やガイドラインを公表しており、制度の全体像を確認する際の参考になります。また、資金調達を伴う場合は日本政策金融公庫の相談窓口も選択肢の一つです。まずは中小企業庁の公式情報で最新の支援策を確認したうえで、税務・法務の具体的な判断は税理士や弁護士など専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
会社を売る方法は株式譲渡と事業譲渡が中心で、相談から成約まで半年〜1年程度が一つの目安です。決算書の整備や相場感の把握を早めに行い、公的窓口と専門家の両方を活用しながら、自社に合った売却方法を検討することが成功への近道といえます。
よくある質問
- Q. 会社を売るのにかかる期間はどれくらいですか?
- A. 案件の規模や交渉状況によって幅がありますが、相談開始から成約まで半年〜1年程度が目安とされています。買い手候補の選定やデューデリジェンスの進み方によって前後します。
- Q. 株式譲渡と事業譲渡はどちらを選ぶべきですか?
- A. 会社全体を引き継ぐか、一部の事業だけを引き継ぐかで判断が変わります。負債状況や許認可の扱いなど専門的な判断が必要なため、税理士やM&A専門家に相談したうえで決めることが望ましいです。
- Q. 会社を売る際の仲介費用はどのくらいが目安ですか?
- A. 着手金が無料の会社もあり、成功報酬は譲渡額の数%〜十数%程度が目安とされます。会社ごとに費用体系が異なるため、複数社から見積りを取って比較することが重要です。