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特許のマルチマルチクレーム制限はいつから?改正内容と対策を解説

公開: 2026-09-06 / 更新: 2026-09-23 ・ 読了 約6分

特許のマルチマルチクレーム制限はいつから?

日本の特許出願における「マルチマルチクレーム(多項従属クレームのマルチ従属クレーム)」の制限は、2022年(令和4年)4月1日から適用されています。同日以降におこなわれた特許出願および実用新案登録出願が対象であり、これより前に出願された案件には適用されません。

この改正は、特許審査の迅速化や国際的な制度調和(日本、米国、欧州などでの足並み揃え)を目的として導入されました。改正日以降にマルチマルチクレームを含む出願をおこなうと、審査の段階で補正を求められたり、拒絶理由の対象となったりするため注意が必要です。詳細な基準や最新の審査運用については、特許庁の公式情報をあわせてご確認ください。

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そもそもマルチマルチクレームとは?

特許出願の「特許請求の範囲(クレーム)」を書く際、他の複数の請求項を引用する形式を「マルチクレーム」と呼びます。そして、「他の複数の請求項を引用しているクレーム」を、さらに引用している別のマルチクレームのことを「マルチマルチクレーム」と呼びます。

具体的な記載例(OKとNGの境界線)

何が制限対象になり、何が許されるのかを具体的なテキスト表現で整理します。

このように、引用関係が複雑に絡み合うと、特許審査官が技術範囲を把握するのに膨大な時間がかかります。また、第三者が特許権の範囲を解釈する際にも混乱が生じるため、2022年4月1日以降の出願から禁止されることとなりました。

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マルチマルチクレーム制限の対象と例外ルール

改正によってすべてのマルチマルチクレームが認められなくなりましたが、出願の「時期」や「種類」によって扱いが異なります。

1. 2022年4月1日「前」の出願は対象外

2022年3月31日までに特許庁へ受領された出願については、改正前の法律が適用されます。そのため、過去の出願に対して現在審査が進行している場合や、過去の出願をもとに分割出願等をおこなう特定の場合には、旧ルールが適用されるケースがあります。ただし、新規に権利化を目指す現行の出願では、すべて新ルールが適用されます。

2. 実用新案登録出願も制限対象

特許出願だけでなく、実用新案登録出願も同様に2022年4月1日以降の出願からマルチマルチクレームが制限されています。実用新案は無審査登録制度(実体審査をおこなわない制度)ですが、基礎的要件の判断基準としてマルチマルチクレームの有無がチェックされ、違反している場合は補正命令が出されます。

3. 外国からの優先権主張出願での注意点

海外(例えばマルチマルチクレームを認めている国)で先におこなった出願をもとに、日本へ優先権を主張して出願する場合でも、日本での出願日が2022年4月1日以降であれば日本の制限ルールが適用されます。翻訳や出願準備の段階で、クレームの引用関係を整理し直す必要があります。

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違反した場合のペナルティと失敗例

もし、2022年4月1日以降の出願にマルチマルチクレームが含まれていた場合、どのようなデメリットが生じるでしょうか。具体的なリスクと失敗例を紹介します。

委託先との連携ミスによる拒絶理由通知の事例

最大の罠:他の要件が審査されない

マルチマルチクレーム違反があると、特許庁の審査官は「そのクレームおよび、それを引用する他のクレーム」について、新規性や進歩性などの実体審査をおこないません。つまり、せっかく画期的な発明であっても、書き方の不備だけで審査を後回しにされ、権利化のスピードが著しく低下してしまいます。

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実務で役立つ!マルチマルチクレームを回避する3ステップ

出願時の無駄なコストやタイムロスを防ぐため、実務で実践すべき具体的な回避手順を解説します。

ステップ1:チェックツールの活用

特許庁は、作成した特許請求の範囲(テキストファイル)をアップロードするだけで、マルチマルチクレームに該当する箇所を自動で検出してくれる無料の「マルチマルチクレーム検出ツール」を提供しています。出願書類を提出する前に、必ずこのツールにテキストを通す習慣をつけましょう。

ステップ2:クレームの「並列化」または「削除」

ツールでエラーが検出された場合、以下の2つの方法で修正します。

1. 並列化(クレームを分ける):マルチマルチクレームとなっている請求項を、それぞれ単一の引用関係を持つ複数の請求項に書き直します。ただし、請求項の数が増えるため、特許庁に支払う「出願料」や「審査請求料」が増加する点に留意してください。

2. 引用先の整理:本当に必要な引用関係だけに絞り込み、不要な「または〇〇」というマルチ引用を削除します。

ステップ3:弁理士などの専門家による最終ダブルチェック

自社で作成した書類であっても、最終的な出願手続きは知財の実務経験が豊富な弁理士に依頼することをおすすめします。特に、海外への出願(PCT出願など)を視野に入れている場合は、国ごとにマルチマルチクレームの許容度が異なるため、専門的な知見に基づいたクレーム設計が不可欠です。企業の知財戦略を最適化するためにも、信頼できる専門機関へ早めに相談しましょう。

【2026年最新】マルチマルチクレーム制限の運用状況と実務対応

2026年時点、マルチマルチクレーム(多数項従属形式の請求項を引用する請求項)の制限は既に本格運用されており、出願時点でのクレーム構成見直しが定着しつつあります。実務上は、出願前に請求項の引用関係を整理し、マルチマルチ形式に該当しないよう独立形式やシンプルな従属形式へ書き換える対応が主流です。また、外国出願(特にPCT出願からの日本移行案件)では、原文がマルチマルチ形式のままになっているケースが多く、国内移行時のクレーム補正が必須となる点に注意が必要です。特許庁の審査基準や運用ガイドラインは随時更新されているため、出願前には最新の審査基準を確認し、代理人と連携してクレームドラフティングの方針をアップデートすることが推奨されます。今後も加算料金や補正実務の細部が変更される可能性があるため、定期的な情報収集と社内規程の見直しを継続することが重要です。

よくある質問

Q. マルチマルチクレーム制限は、いつから始まったのですか?
A. 2022年(令和4年)4月1日以降の特許出願および実用新案登録出願から、一律で制限が導入されました。
Q. 制限を無視して出願するとどうなりますか?
A. 特許庁から拒絶理由通知が届きます。また、そのクレームに関する新規性や進歩性の実体審査がストップするため、権利化が大幅に遅れる原因になります。
Q. マルチマルチクレームに該当しているか自分で確認する方法はありますか?
A. 特許庁が公開している無料の「マルチマルチクレーム検出ツール」に作成したテキストを入力することで、自動的に違反箇所を検出できます。
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