
働き方改革推進支援助成金と勤務間インターバル2026
この記事の要点
- 休息時間9時間以上の導入で助成上限は100万円程度になる場合がある
- 承認前の発注は対象外になりやすく手順の順番が重要
- 36協定の残業上限は月45時間・年360時間が基本
働き方改革推進支援助成金の勤務間インターバルコースとは何か
働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)は、終業から次の始業まで一定時間の休息を確保する制度を導入した中小企業事業主に対し、就業規則の整備費や労務管理用ソフトの導入費などを助成する制度です。休息時間数に応じて助成上限額が変わり、条件を満たせば100万円程度の助成を受けられるケースがあります。
この助成金は厚生労働省が実施しており、正式名称は「働き方改革推進支援助成金」です。勤務間インターバルのほか、労働時間短縮や賃金引上げなど複数のコースがありますが、本記事では勤務間インターバル導入に特化した内容を解説します。
勤務間インターバル制度とは
勤務間インターバル制度は、1日の勤務終了後、翌日の勤務開始までに一定時間以上の休息を確保する仕組みです。労働時間等設定改善法により、事業主は勤務間インターバルの確保に努める義務(努力義務)があるとされています。休息時間は9時間以上、11時間以上など企業によって設定が異なり、休息時間が長いほど助成金の上限額が高く設定される傾向にあります。
なぜ今このコースが注目されているのか
人手不足やメンタルヘルス対策の観点から、長時間労働の是正に取り組む企業が増えています。勤務間インターバル制度は労働者の生活時間や睡眠時間を確保する効果が期待され、離職防止や採用力強化につながるとされることから、導入を検討する中小企業が増加している状況です。
助成対象となる事業者の条件
助成を受けるには、以下のような条件を満たす必要があります。
- 中小企業事業主であること(業種により資本金・従業員数の基準が異なる)
- 労働者災害補償保険の適用事業主であること
- 交付申請時点で「勤務間インターバル」を導入していない、または休息時間が9時間未満であること
- 事業実施計画を作成し、労働局の承認を得ること
業種別の中小企業の定義はおおよそ以下の通りです。
- 小売業:資本金5,000万円以下または従業員50人以下
- サービス業:資本金5,000万円以下または従業員100人以下
- 卸売業:資本金1億円以下または従業員100人以下
- その他業種:資本金3億円以下または従業員300人以下
対象条件は年度によって変更される可能性があるため、申請前に必ず厚生労働省の最新情報を確認してください。
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助成率は取り組み内容によって異なりますが、成果目標を達成した場合の助成率はおおよそ4分の3、生産性要件を満たす場合はさらに高い助成率が適用されることがあります。上限額は休息時間数に応じて段階的に設定されており、休息時間が長い制度を導入するほど上限額が高くなる仕組みです。
例えば、休息時間9時間以上の制度を導入した場合と11時間以上の制度を導入した場合では、上限額に数十万円程度の差が出ることがあります。具体的な金額は年度ごとに更新されるため、申請前に必ず最新の交付要領を確認することが重要です。
対象となる経費の例
- 就業規則・労使協定の作成・変更に関する社会保険労務士等への相談費用
- 労務管理用ソフトウェアやタイムレコーダーの導入費用
- 労働能率の増進に資する設備・機器の導入費用
- 外部専門家によるコンサルティング費用
単なるパソコンやスマートフォンの購入費、通常の事務用品費などは対象外とされることが多いため、経費の使途は事前に確認しておく必要があります。
申請から受給までの手順
ステップ1:事業実施計画の作成
まず、勤務間インターバル制度の導入を含む「働き方改革推進支援助成金交付申請書」および事業実施計画を作成します。休息時間の設定、対象労働者数、実施する取り組み内容を明記します。
ステップ2:計画の提出と承認
作成した計画を労働局に提出し、承認を受けます。承認前に取り組みを開始してしまうと助成対象外となるケースがあるため、順番を誤らないよう注意が必要です。
ステップ3:取り組みの実施
承認された計画に基づき、就業規則の変更やソフトウェアの導入などを実際に行います。実施期間はおおよそ数か月程度に設定されることが一般的です。
ステップ4:支給申請
取り組み完了後、実施内容と成果を報告し、支給申請を行います。休息時間が実際に確保されているかを示す記録の提出が求められる場合があります。
ステップ5:助成金の受給
審査を経て助成金が支給されます。申請から支給まで数か月かかることが多く、資金繰りを考慮したスケジュール管理が欠かせません。
よくある失敗例
- 計画の承認前に見積書のみで発注を確定させ、承認後に契約日をずらして帳尻を合わせようとした結果、証拠不備で不支給となるケース
- 就業規則の変更手続きを後回しにし、実施期間内に労使協定の締結が完了せず対象外となるケース
- 休息時間の設定を9時間未満のまま申請し、対象条件を満たしていないことが審査段階で判明するケース
- 対象経費だと思って発注したITツールが、実際には助成対象外の汎用ソフトだったケース
こうした失敗は、申請前に交付要領や対象経費の範囲を十分に確認していないことが原因になりやすいです。申請書類の作成段階で、労働局や社会保険労務士に相談しながら進めることでリスクを減らせます。
36協定の残業上限規制との関係
勤務間インターバル制度を検討する企業の多くは、36協定における残業時間の上限規制も同時に意識する必要があります。労働基準法上、残業時間の上限は原則として月45時間・年360時間とされており、特別な事情がある場合でも年720時間などの上限が設けられています。勤務間インターバル制度は、この上限規制と組み合わせることで長時間労働防止の効果を高める取り組みとして位置づけられています。
申請時に準備すべき書類
- 労働保険関係成立票の写し
- 就業規則(変更前・変更後)
- 労使協定書
- 事業実施計画書
- 経費の見積書・契約書・請求書・支払証明書
書類の不備は審査の遅延や不支給の主な原因になるため、提出前にチェックリストを作成して確認する企業が多く見られます。
まとめ
働き方改革推進支援助成金の勤務間インターバルコースは、休息時間の確保という具体的な取り組みに対して助成が受けられる制度です。助成額は休息時間数や成果目標の達成状況によって変動し、対象経費や申請手順にも細かいルールがあります。申請を検討する場合は、最新の交付要領を厚生労働省の公式サイトで確認し、必要に応じて社会保険労務士など専門家に相談したうえで手続きを進めることをおすすめします。
よくある質問
- Q. 勤務間インターバル制度は義務化されているのですか?
- A. 労働時間等設定改善法により、事業主には勤務間インターバルの確保に努める努力義務が課されていますが、現時点では罰則を伴う義務化はされていません。最新の法改正状況は厚生労働省の公式情報を確認してください。
- Q. 助成金の申請はいつ行えばよいですか?
- A. 取り組みを開始する前に事業実施計画を作成し、労働局の承認を得る必要があります。承認前に発注や契約を進めると対象外になる場合があるため、申請スケジュールは早めに確認することが重要です。
- Q. 個人事業主でも申請できますか?
- A. 労働者を雇用し労働保険に加入している中小企業事業主であれば、個人事業主でも対象となる可能性があります。具体的な条件は業種ごとに異なるため、公式の交付要領で確認してください。



