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役員退職金の損金算入時期は2026年もこう決まる

公開: 2026-09-27 / 更新: 2026-09-27 ・ 読了 約4分

この記事の要点

  • 原則は決議日基準、例外的に支払日基準も認められる
  • 功績倍率はおおよそ1.0〜3.0程度が一つの参考値
  • 分掌変更後も経営関与が続くと損金算入が否認される例あり

役員退職金の損金算入時期は「決議日」か「支払日」が原則

役員退職金の損金算入時期は、原則として株主総会などで支給額が確定した日(決議日)の事業年度で算入します。ただし、実際に支払った日の属する事業年度で損金経理をした場合には、その支払った日を基準とすることも認められています。この2つの基準のどちらを選ぶかによって、法人税の計算に影響が出るため、決算のタイミングと合わせて慎重に検討する必要があります。

損金算入時期の2つの原則

原則1:株主総会決議日基準

役員退職金は、株主総会の決議によって支給額が具体的に確定した日の属する事業年度の損金として算入するのが原則的な考え方です。たとえば3月決算の会社で、6月の定時株主総会で退職金支給を決議した場合、その決議日が属する事業年度(4月〜翌3月)の損金として計上します。実際の支払いが翌事業年度にずれ込んでも、決議日基準を採用していれば損金算入時期は決議した事業年度のままです。

原則2:支払日基準(損金経理要件あり)

国税庁の取扱いでは、法人が実際に退職金を支払った日の属する事業年度において損金経理をした場合には、その支払った事業年度の損金として認める余地があるとされています。ただし、これは「決議日基準を使わず、支払った事業年度に費用として計上した場合」に限られる特例的な扱いであり、決議はしたが支払いは翌期、という状況で自動的に選べるわけではありません。会計処理と税務処理を一致させる必要があるため、経理担当者と税理士の間で事前にすり合わせておくことが欠かせません。

未払金計上のケースに注意

決議はしたものの資金繰りの都合で退職金を未払金として計上し、実際の支払いが数年先になるケースがあります。この場合、原則どおり決議日基準で損金算入すると、未払いのまま損金算入が認められる可能性がありますが、税務調査で「実態が伴っていない」と指摘されるリスクもゼロではありません。分割払いにする場合は、支払い計画書や取締役会議事録などで裏付けを残しておくことが重要です。

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損金算入額の目安と計算の考え方

役員退職金の適正額は、一般的に「最終報酬月額 × 役員在任年数 × 功績倍率」という功績倍率法で算定されることが多く、功績倍率はおおよそ1.0〜3.0程度の範囲で設定される例が見られます。ただし、この倍率はあくまで一般的な計算方法の一例であり、業種や会社規模、過去の裁判例によって適正水準は異なります。功績倍率を高く設定しすぎると、不相当に高額な部分が損金不算入とされる可能性があるため、同業他社の水準や過去の役員報酬の推移を踏まえて算定することが求められます。

また、退職金の原資として生命保険を活用する会社も多く、解約返戻金のピークとなる時期に合わせて退職時期を検討するケースもあります。この場合も、保険の解約と退職金支給決議のタイミングがずれると、想定していた資金繰りと損金算入時期がかみ合わなくなることがあるため、事前のシミュレーションが欠かせません。

よくある失敗例

失敗例1:決議日と支払日がずれて損金算入時期を誤る

ある会社では、3月に株主総会で退職金支給を決議したものの、実際の振込は翌期の4月にずれ込みました。経理担当者が「支払った日基準」で処理してしまい、決議した事業年度では損金計上せず、翌期にまとめて損金算入した結果、税務調査で処理の一貫性を問われ、修正申告を余儀なくされた例があります。決議日基準を採用するのか支払日基準を採用するのか、事前に方針を固めておくことが大切です。

失敗例2:分掌変更による退職金で否認された

代表取締役から非常勤の会長に退任し、実質的な経営権を移譲したとして退職金を支給したものの、その後も実質的に経営の意思決定に関与し続けていたため、「分掌変更による退職とは認められない」として損金算入が否認された例もあります。分掌変更を理由に退職金を支給する場合は、報酬の減額幅や職務内容の変化を明確に示す資料を残しておく必要があります。

失敗例3:功績倍率を高く設定しすぎた

在任期間が短いにもかかわらず功績倍率を3.5程度に設定し、同業他社と比較して著しく高額と判断され、超過部分が損金不算入となった例もあります。功績倍率の設定は、過去の役員報酬額や在任年数、会社への貢献度を総合的に踏まえて判断することが求められます。

手続きの流れと必要書類

1. 退任予定日のおおよそ2〜3か月前に取締役会で退職金支給の方針を協議する

2. 株主総会招集通知に退職金支給の議案を記載する

3. 株主総会で支給額・支給時期・支給方法を決議し、議事録を作成する

4. 決議内容にもとづき退職金を支払い、源泉徴収税額を計算して納付する

5. 決算時に決議日基準または支払日基準にもとづき損金算入の処理をする

この一連の流れの中で、議事録の記載内容が曖昧だと、後日の税務調査で支給額の根拠を説明できなくなることがあります。決議日、支給額、算定根拠(功績倍率や最終報酬月額)は議事録に具体的に残しておくことが望ましいでしょう。

損金算入時期を判断する際の注意点

役員退職金の損金算入時期は、会社の決算スケジュールや資金繰りと密接に関わるため、顧問税理士と連携しながら方針を固めることが不可欠です。特に分掌変更や分割支給を伴うケースは個別の事情によって判断が分かれるため、最終的な取り扱いについては国税庁の公表資料を確認するとともに、税理士など専門家に相談したうえで判断することをおすすめします。

よくある質問

Q. 役員退職金はいつの事業年度の損金にすればよいですか
A. 原則として株主総会などで支給額が確定した決議日の事業年度に損金算入します。実際に支払った日を基準に損金経理した場合はその事業年度で算入することも認められています。
Q. 退職金を分割で支払う場合の損金算入時期はどうなりますか
A. 分割支払いの場合も決議日基準を採用していれば決議した事業年度に損金算入できる余地がありますが、未払金の実態が問われることがあるため支払計画の裏付け資料を残すことが重要です。
Q. 功績倍率はどのくらいが適正ですか
A. 一般的な計算例ではおおよそ1.0〜3.0程度の範囲で設定されることが多いですが、業種や会社規模により異なるため、専門家に相談して個別に判断する必要があります。
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